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  • Dec 7, 2012

やきものの歴史上、低い温度で焼成する土器から高温で強度を増した陶器に発展したことで大きくジャンプした。釉薬は長石に土灰を合わせたもので調合されたものが昔からのオーソドックスなアプローチだが、もともとは『山火事』のアクシデントがヒントになって考えだされた方法なのではないか、という推測もある。

みんながやることはやりたくないと、あまのじゃくな自分はヤキモノの業界でもっともポピュラーな『土灰釉』をずっとさけていた。ストーブの灰から自分で釉薬を作ってますよ、というところにスポットライトをあてて、無理矢理ロマンティシズムを感じさせようとする意図的な態度にしらけてしまうのだった。自分でも可愛げの無い性格だと思う。

メインの冬は10月から始まる。どんなうちにも薪ストーブがおいてある。ほとんど、灰は畑に捨てられる。もちろん、灰は畑にとっても良いことなのだが、こんな恵まれた環境にいて灰をヤキモノに利用しないのはもったいないことではないかと思うようになった。

試しに土灰釉を作ってみた。

手間はかかるが、やはり自然の醸し出す風合いはひと味違う。

土灰に陶芸家が魅せられるわけだ。

ということで、自分も同じ穴のむじなだったことをようやく認めている。

 

自分の作品でもコピーはしたくない。コピーした段階でスピリットが死んでしまうから。と、偉そうに自分勝手な信念の元にうつわを作っている。

 lemon cup は以前から作り続けているmonohanakoの定番作品。

とは言え、しょっちゅう形が’変化している。

『定番作品』と言った手前、これはコマーシャルの世界ではいささか問題でもあるなぁ、実は小心者の自分は心の片隅で多少感じてもいたけれど、TOYOTAだってAPPLEだって、度々モデルチェンジしてるではないか。ということに気がついた。

これでいいのだ。と、バカボンのパパみたいに自分で納得している。

 
  • Sep 8, 2012

お互いに愛犬を亡くして以来、年に一度、バックパックキャンピングをしようと決めた。相棒がいないのは寂しいことだが、ペットを置いて長期間の留守ができないのが欠点だった。

今年は10日間かけて、Allagash Riverをカヌーで渡る予定だったが、あいにく干ばつで水かさが足りず、急遽、川から山へと方向を変更。

メイン州の北にBaxterという州立自然公園があり、そこにはMt. Katahdin という、メインで一番高い山がある。ジョージア州にまで渡るアパラチアトレイル(3515 km)の最北地点でもある。Mt. Katahdin は1600メートルと、それほど高い山ではないけれど、『Knife Edge』という恐ろしい名前のついたトレイルで知名度が高い。その名の通り、鋼のようにシャープで歩幅の狭いところを渡らなければならない。落ちると絶壁。間違いなく死んでしまうか、運が良くても30本以上の骨折は想定できる。毎年事故が絶えないという。

登山メンバーはスタートからハンディがあった。

私:手の甲を車のドアに挟んで負傷、P:風邪、Pの父:オーバーウェイト、P父のパートナー:高所恐怖症(途中で敗退)

おてんばのわりには自分も高所恐怖症なので、トカゲのように四つん這いになって細い岩肌を渡る箇所もいくつかあった。ロープなしのロッククライミング的な所もあり、背丈が足りずめっちゃ冷や汗!というシーンもあり、喜怒哀楽のツボを一気に刺しまくられる思いであった。

怪我もなく、ようやく全員無事にキャンプサイトにゴール。

10時間かかった。おかげで足は丸太のように重くなった。

山登りをレジャーとする者は人間以外の何者でもない。

山羊や鷹や熊やリスも、高いところから眺める『景色』のためにわざわざ山に登っているわけではない。動物からみればバカバカしいと思われる行動を人間はなぜ命にリスクを負いながらも続けるのであろう?

自然に触れることは、人間にとって一番明瞭なリアリティーチェックだとおもう。

自分の体力、能力を実感出来る。そしてどんなにがんばっても自然にはかなわない、という謙虚な気持ちにもなれる。自然の豊かさ、厳しさに触れることで自分がいかに小さい一粒にすぎないことを改めて感じることは、頭でっかちの人間にとって不可欠ではないかとおもう。生きてて良かった、と思える瞬間でもある。

 
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