アメリカ人はケチなのか、自立心が強いのか、人を信頼出来ないのか、それとも信頼に及べる職人のクオリティーが低いからなのか、なんでも“do it yourself”ですませようとする。
だからHome Depotのような日曜大工の店の品揃えは立派だ。
私はこのテの店が大好きである。上等のゴルフクラブをを選べばタイガー ウッズになれるようなファンタシーを抱く素人ゴルファーと同じように、道具を見ているだけでさも自分が出来そうな人間であるかのような錯覚になる。でも自分は器用な人間だとおもっていないので甚だしい勘違いは起こさないが、大工仕事が得意になって家とか自分で建てられたらさぞかし面白かろう、と夢を抱いてしまう。
そしてその時もつ『家』のイメージはなぜかtree houseなのである。
メインでは以前車庫としてあてられたスペースが仕事場に変身することになる。16坪のコンクリートの床面積だけが存在する他は何も無い。ロクロも原料も窯もまた一から用意しないといけない。
なんでも自分の手で作り上げてしまう(ケチな)アメリカ人に見習ってまずはヤキモノを干すパイプラックを作ってみることにした。
二日かかって檻のような箱が出来上がった。
ビニールシートを貼って湿気を調整する仕組みにもした。
アメリカでのスタジオ作りの第一歩である。
仕事用のシンクの設置、新しく物置小屋を作る為にニワトリ小屋を崩したり、将来薪窯を据える場所の木の伐採、古くなったホースを換えたり、外灯を付けたり、ペンキ塗り、コンポストの設置、次から次と仕事がある。
何度もHome Depotへ通っているうちに今ではレジのおばちゃんにも『また来たのね。今度はどんなプロジェクト?』と話しかけられるような常連になった。
Home Depotに限らず、アメリカではかつて男性のテリトリーであった職場で働く女性が目立つような気がする。P子のお母さんもかつてバリバリの大工さんだった。ギターも自分で作り上げるほどの腕をもっている。
つい先日もHome Depotですごく切れ味の女性のスタッフにアドバイスを受けた。大工歴が長そうなことが感じられる人だった。可哀想なくらいに間の抜けた男性のスタッフがいたせいでその時は女尊男卑的な感情を抱いてしまったが、テキパキする女性に出会うとなんだか余計にうれしくなってしまう。
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