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春は生命力に溢れている。

フキノトウもツクシもピークは2週間という、とても短いタイムリミットである。

気付いたら遅かった!というくらいに春の成長は待ってくれない。

ワラビをちょうどいいタイミングでみつけたのもラッキー!と思わざるをえない。去年は数週間家を離れている隙にワラビを食べ損ねた。

うちは酸性土だからなのか、ワラビが良く育つ土壌らしい。

裏庭の畑には野菜を育てる為に肥料をやったり、石灰を加えたりしてアルカリ土壌を無理矢理作っているけれど、この酸性土には酸性土なりの自然の賜物があるらしい。

すると、ふとヤブの方に目をやるとタラの芽があるではないか!

今まで気付かなかったのが情けない。

しかももう既に葉っぱを開きかけているので『なんですとぉ〜!』とショックな気持ち、倍増である。タラの芽の美味しい時期は芽が出たばかりの一瞬でそれが開くとトゲがあるし、『芽』ではないので意味がない。しかもツクシみたいにそこら中にあるものではなく、一枝に一つしかとれない貴重品である。

悔しくても少し葉っぱになりかけているタラの芽を摘んで天ぷらにした。

自宅でタラの芽の天ぷらが食べられるなんてこの上ないシアワセなんだろうが、哀しいかな、天ぷらほど自分でするものではないと思う。

熱い油でサッとかりっと揚げるのは素人ではなかなかムズカシイ。


生命力に溢れる春、さぞかし楽しくて心膨らむ季節なのだろうが、その反面、私にとってはちょっとデプってしまう季節でもある。生命力に溢れてすぎていて、スピードが早すぎて自分がそれについて行けてないような気がする。

木蓮もあっという間に咲き、あっという間に風に散った。

春に悲しい出来事が起ると特に悲しみが増すような気がする。

カラッと晴れた青空に山桜が咲き乱れ、鶯が鳴いている。

だのに悲しい自分だけがそこにいて、自然にもそっぽを向かれているような気がする。

春は意外と冷たい。

眩しい太陽の光にそそられて外に出てみると空気は案外冷たかったりする。

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