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灰釉

やきものの歴史上、低い温度で焼成する土器から高温で強度を増した陶器に発展したことで大きくジャンプした。釉薬は長石に土灰を合わせたもので調合されたものが昔からのオーソドックスなアプローチだが、もともとは『山火事』のアクシデントがヒントになって考えだされた方法なのではないか、という推測もある。

みんながやることはやりたくないと、あまのじゃくな自分はヤキモノの業界でもっともポピュラーな『土灰釉』をずっとさけていた。ストーブの灰から自分で釉薬を作ってますよ、というところにスポットライトをあてて、無理矢理ロマンティシズムを感じさせようとする意図的な態度にしらけてしまうのだった。自分でも可愛げの無い性格だと思う。

メインの冬は10月から始まる。どんなうちにも薪ストーブがおいてある。ほとんど、灰は畑に捨てられる。もちろん、灰は畑にとっても良いことなのだが、こんな恵まれた環境にいて灰をヤキモノに利用しないのはもったいないことではないかと思うようになった。

試しに土灰釉を作ってみた。

手間はかかるが、やはり自然の醸し出す風合いはひと味違う。

土灰に陶芸家が魅せられるわけだ。

ということで、自分も同じ穴のむじなだったことをようやく認めている。

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