アメリカの食文化はどう贔屓目にみても他国に自慢出来る程の物は無いが、それでもうん、これはイケる、と思える物がある。
ビールである。
普通のスーパーに行ってもそれなりの種類の地ビールが店頭に並ぶ様になった。
アメリカではどんなビールを飲むかでその人の人間性やインテリジェンスをジャッジするスノッブな文化があるような気がする。ちなみにバドワイザーは典型的な労働者クラス、文化レベルもかなり低い人たちの飲み物らしい。一昔前の日本ではカッコ付けてる若者たちがバドワイザーやハイネッケンを粋がって飲んでいたのをよく目にしたものだ。せっかくアメリカンビールにこだわるならもっと美味しいもんのめばいいのに。と思っていたが、輸出の問題で日本には届かないのかもしれない。残念だ。
アンバー、ペールエール、IPA, ラガー、ポーター、スタウト、ビールだけでおなかが満足するようなビールがある。アメリカ、イギリス、アイルランド、ドイツ、典型的なビール王国をみても、(偏見かもしれないが)どうやら美味しい食べ物がない国の食文化がこのようなビールを生み出しているような気がする。
繊細な日本食やフランス料理には凝りまくったビールは合わないし、そんな国でビール文化は育たないのかもしれない。
アメリカの食事にはビールがよく似合う。バーベキューにはやっぱりビールだし、パーティーに行ってもビールを持って行く。『食事』というよりも『ソーシャルライフ』を重んじる文化ではビールが適している。アメリカではバーにいっても15年ものの樽熟成スコッチウイスキーではなく、やっぱりビールのような気がする。カジュアルで湿っぽい情緒が似合わないこの国ではやっぱりビールなのである。
最近アメリカのヒップな若者の間でPBRというビールが流行っているらしい。これはバドワイザーよりもチープでまずいビールで、スノッブでリッチなソサエティーに対しての反抗なのか、チープで文化レベルの低いビールをカッコイイとみなす傾向がある。それでもバドワイザー組とは一線を引いているようだ。同じチープで美味しくないビールでもバドワイザーはカッコワルいらしい。
どうやらトラッシュ文化がもてはやされる時代になっているようだ。
ハイクオリティーを求める意識は流行から遠ざかっている。
悲しい事だと思う。
そう思う自分は歳なのか?
時代の変化を受け入れがたい人間になっている。
コメント