夜明けのウィスキー

最近、朝帰りが続いている。

ジョディーの家からは小一時間程かかるので、自宅へ戻る頃は夜が明け始めている。

というと、夜明けまで遊びほうけているように聞こえるかもしれませんが、いえね、まじめに窯焚きをやっているのです。

ジョディー率いる陶芸家の仲間たちと8日間にわたって薪窯を焚いている。窯詰めも4日程かかるので、普段の制作サイクルとまるで違う。

薪窯を焚くのは久しぶりで、どんな作品が出来るのか非常に楽しみにしている。久しぶりにスモークチキンも作った。これは、昔、実家の窯でやっていたことだが、窯焚きの初日の白い煙で手羽先の薫製を作る。醤油と酒、生姜、ニンニク、唐辛子でマリネした手羽先を半日くらい窯の上に吊るして、スモークで乾かす。これを窯のオキであぶると皮がぱりっとやけてとても美味い。窯焚きメンバーの仲間はみんな食べることが大好きで、一緒にいて楽しい。次回は豚肉、鱒、ムール貝なんかのスモークもいいかもね、と話が盛り上がった。陶芸家は料理上手な人が多い。当然と言えば当然だが。けどたまに、料理に興味のない陶芸家に出会うと拍子抜けしてしまう。北海道にいてスキーが出来ない人、みたいな。

四人のメンバーで交代しながら窯の当番をしているのだけど、自分は新参者なので、深夜当番を受け持つ事になった。夜11時から始まり、朝の5時というシフト。自分は割とこのシフトが嫌いではない。しん、と静まり返った夜に薪がぱちぱちと燃える音は大袈裟なくらいに闇に響く。初めの数日間はゆっくりと窯をいぶすだけなので、仕事としてはさほどハードではない。窯の番をしながら本を読んだり、数独をしたり、ギターを弾いたりしながらゆるりとした時間を誰にも邪魔されずに過ごすのも悪くない。鳥たちは夜が明ける二時間も前から身支度を始めている。自分は普段、朝は得意な方ではないので、夜明けを目にするのは珍しく、気持の良い景色。

けど、窯焚きの後半になってくると窯の温度と共に仕事の量も増えてきて、だんだん疲れが出てきた。温度を上げないといけない時になかなか上がらなかったりすると、焦って冷や汗も出てきたりする。慣れてない窯なので勝手が違う。それに、夜勤の後に朝方就寝というのは普段のサイクルとまったく逆なので徹夜が続くと流石に辛い。イタリア人のように昼寝の習慣が身に付いている訳ではないので、朝からウイスキーをストレートでひっかけて無理矢理寝ようとしてもなかなか寝付けない。脳ミソが膝のあたりまでだらんと垂れ下がっているようで意識も朦朧としてきた。

今日は何曜日でしたっけね?と毎回聞いているような気がする。そして、毎回こんがらがっている。けれども、曜日などあまり関係ないというのが実のところで、しばらくへんな現実逃避を楽しんでいる。

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