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センチメンタルジャーニー



細川たかしによると、北の酒場通りには髪の長い女が似合うらしいが、

秋のニューイングランドのドライブにはコルトレーンが似合う、と自分は思っている。

紅葉とコルトレーン、といえばまるで観光局のポスターみたいでちょっぴりやりすぎかな?と恥ずかしくなるようでもあるが、ありふれた決まり文句のようなことも言わずにはおれないのと似ている。使い古されたクリシェのようだと思っていてもこの風景にはなぜかぴったりの音楽だとおもう。

コルトレーンは情緒がたっぷりで、ある種の湿っぽさはあっても暗さがない。

高貴な魂の持ち主だったに違いない。

いつ聴いてもハンサムな音楽だとおもう。

空気が一段と広く、透き通って感じられる。

天は高く、きりりとしまった空気の中に紅葉の色彩が散らばる。


ニューイングランドの紅葉は素晴らしい。

メイン州はニューイングランド地方の北東に位置する。

かつて住んでいたバーモント州も、大学生活を送ったマサチューセッツ州でも経験したが、ニューイングランドの紅葉を目にした時はなんて素晴らしい世界なんだろうと感激した。なかでもバーモントの紅葉は群を抜いてすごい。

落葉樹の葉が黄色になるか赤になるかは土地の成分や木の種類によっても違うし、霜の関係性もある、という説もある。

しかし科学的なことは別にどうでもよろしくなって来る。

それくらい神秘性に満ちあふれている。

言葉では言い表せないほどのメリハリのきいた色彩にいつも心をうばわれる。

葉っぱはどれもこれもいちまいづつ違う色をしており、どれが一番!を決めるのは不可能だ。

この時期になるといつもおセンチになってしまう。

若い時、恋に落ちるのもいつも紅葉の時季だったような気がする。

それくらいムードのある風景なのだ。

深く深呼吸しても吸い込みきれないほどの澄んだ空気に胸がパンパンになっている感じ。

そこら一面に赤や黄色に色づいたメイプル。ああ!神様!

一度母にこの紅葉を見せたいと思っていた。

母は辛口だがわりと詩的ぽいところがある。

母の為に『紅葉の旅〜センチメンタルジャーニー』を企画した。

遠距離の旅はそろそろ体力的にも限界を感じている70を越える母が、もうじき旅トモMさんとふたりでスーツケースを抱えてやって来る。

二人にもう一度恋におちた日々を思い出してほしい。

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