スピードラーニング

74にもなる母が一体何をおもったのか『スピードラーニング』というものを買っていた。母は疑り深い人間で普段は石橋を叩いて、叩いて、叩き割るタイプの人間なのだが、どうやらそんな母も石川遼君の美貌にはこともなくだまされてしまったらしい。

『ただなにげに聞いていただけなのに、ある日突然ぺらぺらと英語が話せるようになっていた』という、どこにもありがちな、けど魔法のような宣伝文句に、いとも簡単にやられていた。

そりゃあ、海外にしょっちゅう行っていて、しかも外国人の選手とかとのやり取りも頻繁にあって、それにまだ体も脳ミソも若くて柔軟性のある石川遼君だったら、ある日突然ぺらぺらとしゃべれるようになったのかもしれないけど。

”マァイ ネえィム ぃズ エァーん テイラー”

別に自分の名前がAnn Taylerでもないのに他人の名前で自己紹介する場面を繰り返し繰り返し練習することにばかばかしさを感じ、ぷつりとやめてしまったらしい。

私も半分アメリカにいるし、アメリカ人のパートナーがいるので自分も英語で会話を少しくらいできたらいいと思って始めたのかとおもうとちょっと胸がきゅんとするが、この際英語よりジェスチャーの方がずっと通じるような気がする。母は日本語を話すときも手がないと話せないので、実は手で話しているような気がする。

“Who are you?”

“I am your daughter.”

という会話だけは先々役に立つかもしれないよ、とは言っているが、実際、私の脳みそよりか、母の方が案外しっかりしているので先にボケたらごめんね、と今のうちから謝っている。

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