ギリシャ紀行

*久しぶりのブログです。ちょっと長いですが久々なのでご了承ください。

もしも、身も心も疲れ切っていて、オアシスを探している人がいたら、私はギリシャの島をお勧めします。

実は、自分にはエアーフランスのクレジットがあって、それを期限内につかわないとパアになってしまうから、ということを口実に先日二週間のバカンスに行って来ました。

日本で二週間もバカンスに行くんです、と言ったら石を投げられそうな空気がありますが、私もPも馬車馬のような生活を続けて過労死寸前、というギリギリのラインを彷徨っていたので、少しくらい傲慢な気持ちで行こう!と割り切ったわけです。

なぜギリシャ?と聞かれても、たまたまビストロで飲ませてもらったワインがギリシャ(サントリーニ)のワインで美味しかったし、そう言えば、今までギリシャのことなんかこれっぽっちも興味がなかったねえ、じゃ、ギリシャに行こうか、なんてとてもスポンテニアスな気持ちにまかせて旅先が決まったのでした。あいにく行くが行くまでバタバタしていてギリシャのリサーチなんて私は何ひとつできませんでした。ただ、ギリシャには沢山の島があるのだなあ、、、と初めて地図を見てぼんやり(ほとんど唖然と)見つめるだけで、後は旅友Pに旅のオーガナイズを任せるのみ。とりあえず、宿とレンタカーだけを抑え、その後Pも体調を崩してしまい、二人で泡を吹きながら日本を飛び出しました。もちろんガイドブックも無し。

パリ経由でアテネ、そして翌朝クレタ島へ向かう、という行程でしたが、早速スーツケースがパリで乗り遅れてしまい、ああ、ヨーロッパへ来たのだ、という実感が湧いてきました。

けれどクレタ島へ着いて真っ青な海を見たとたん、心がおおらかになりました。荷物や着替えなんて、少々遅れてもどうってことなし、まあ、ゆっくりやっておくんなせえ、と。

後から知りましたが、クレタ島はゼウスの出身地。浮気者で沢山の女神をてごめにしたことで有名なゼウスですが、クレタの景色を見ると「そりゃあ、恋でもしたくなりましょうよ」と合点がいく。

エメラルドの海を目前にハンサムな形状の山々がそびえ立ち、野原にはオリーブの木々や野草が咲き乱れている。ローカルの食べ物も、太陽の光をいっぱい浴びた、いかにも弾けんばかりの真赤なトマト、オブジェのような姿にそそられるアーティチョーク、ちょっと苦味のある健康に良さそうなグリーン、ヤギのチーズやグリークヨーグルトもフレッシュで美味しかった。

クレタ島でお世話になった館は、Gouledianaという小さな村にある、築500年の、かつてオリーブオイルをプレスしていた建物。建築家でもあるオーナーが昔の良いところを残しつつ、センス良くリフォームしていました。毎朝近所から聞こえてくる音と言えば、ヤギたちの首輪にかけてあるガランゴロンという鈴の音、ニワトリのアピール、犬たちのナワバリ争い、など、人間よりも動物の存在の方が目立っているような空気感がありました。

館から200mくらい下ったところには素朴な食堂があって、全て地元のオーガニックの食材で賄っている食堂でした。メニューをみるとほとんどがチンプンカンプンな料理だったので、Tzatzikiてなんですかぁ?って質問したら、主の目が点になって、いかにも「なんですとぉ?あんた、Tzatziki も知らずにギリシャにやって来たの?」と言わんばかりの態度で説明してくれた。ようするに、ヨーグルトにキュウリのすりつぶしたものが入っているペーストで、(そう言えば、以前似たようなものを何処かで食べたような気はしたが、)けどとりあえず始めての夜は全てをこの主に身を任せることに。

この食堂のオーナーはなかなかの働きマンで、朝は買い出しに仕込み、昼間はぶどう畑の世話(自分でワインやラキも作っている、) 夜はレストランで深夜まで忙しい。海外からのリピーターも多いようだ。「休み?休みなんてないさ、仕事と結婚したようなもんだよ。」とキッパリ言ってのけた。この人はクレタの今後のアグリツーリズムの可能性に命をかけているように見えた。経済も崩壊してしまったギリシャだが、クレタには農水産物、美しい自然、歴史、どれをとっても世界に誇れるものがある。


私たちはそもそも観光客なんで、朝からバカンス気分100%。(だって目に映る景色はパラダイスそのものだから。) 海はエメラルドに輝き、山々の姿も凛々しい。気持ちの良いテラスでゆっくりと朝食をとりながら、ここの人はなんて幸せ者なんだろう!毎日こんなゆっくりした生活ができるなんて!なんて思っているうちに、ハタと気付いた。いつも自分に対して他人が抱いている像(社会とかけ離れた山の中で呑気に陶芸なんかしている様子)と似ていることを今自分はここの人たちに対して妄想しているのではないかと。観光客は勝手に妄想してしまう。スローライフはけしてスローではないことを自分が一番承知してるつもりでいたのに、一旦自分が観光客になってしまうと、同じように勝手に妄想しいていた。

けどやっぱり現実的なことを考えるより、勝手気ままな観光客でいる方が楽しいので、毎日おとぎ話のような生活にふけっていた。

ギリシャに来てまず直ぐに感じたことは、この国はホスピタリティの感覚がとても旺盛だということ。どこのホストハウスの家にもまず、冷蔵庫の中にはワイン、オレンジジュース、ミルク、果物などがサービスとして用意してあり、クレタ島ではレストランに行くと最後にはデザートとラキ(グラッパのようなもの、めちゃ旨い)が必ずおまけで着いて来た。こんなにホイホイ気前良くするから経済が潰れたんじゃないの?と疑うほど。

クレタで特に感じたことだけど、人間がすれてなく、素直でお人好しの人が多いような気がした。現在ガタ落ちのギリシャ政経の中で、外国人相手の観光が唯一の命綱だと認識している(と思う)彼らにとって、ホスピタリティは間違いなく大切な要素だとおもう。役人だらけのアテネと違って、クレタやミコノス島ではそういう活気があった。他人に頼らず、自分たちで生活を切り盛りしていこう、というやる気が感じられた。ギリシャの人には、良く言えばジョージクルーニー、落ち着いてよく見れば西郷隆盛にも見えてしまうような顔ぶれが多かった。ようするにちょっと濃いけど真面目な人たち。

友人にミコノス島にも行く、と伝えたら「え〜っ!ミコノス島ぉ!やっらしいっ〜!」って言われたけど、どうしても白いお家と青い海を見てみたかった。

たしかに、ミコノス島はクレタよりも観光ナイズされていて、ロマンスをビジネスにしているような、ちょっと引いてしまうところがあったけど、幸い私たちの借りた家は中心地から外れたところにあり、誰にも邪魔されないのどかな空気を味わうことが出来た。まだ五月ということもあり、ビーチもプライベートっぽかった。家から歩いて五分のところにKikis Tavern という地元の人がイチオシするBBQ屋さんがあって、ここのアーティチョークのサラダがとても美味しくて二日続けて通った。高級でも上品でもないのに人のココロを満足させてくれる空気があって、いつも客で賑わっていた。人づてで観光客にも噂は広がっていて人気だった。お店の看板もなにもないのだけど、真の実力と魅力がそこには感じられた。

ギリシャは現在経済状況が悪化してるからギスギスしたところがあるのかも?という、来る前にちょっと心に描いていた心配は全然いらなかった。(行った先が観光地だったからか?)むしろだれもが親切で気前が良かった。ミコノス島もよかったけど、クレタは本当に良かった。自然が唖然とするほど美しい土地でありながら、観光にも溺れることなく、人々が自分たちの文化、生活に誇りを持っているような気がした。自分たちに自信があるから他人にも親切に出来るのかもと思った。

また、クレタのあるレストランでは「これから世界で一番美味しい料理を出すけど、準備はいい?」なんて自身過剰もここまでくればオチャメに見えてしまったり。「粗品でしたがお口に合いましたでしょうか?」なんていう日本語はギリシャの人たちにはどう受け止められるのだろうか?

もっと誇らしくホスピタリティに接する精神も少しは日本にも必要なのでは、と思ってしまう私なのでした。

本当に天国に行ったような体験で悪いことなんてなかった。強いて言えば、クレタからミコノスに渡るFlying Catという名のジェットボートが海の上で大暴れして、出航後15分もしないうちにものの見事に乗客の大半を酔わせてしまった事件があったことくらい。自分は眠っていたけど左右前後からオエ〜、うえ〜という呻き声に叩き起こされて、目を開けると自分の目の前のおばちゃんが、まさに今から、というタイミングだったのでまた固く目を閉じなければならなかった。けど目は騙せても耳は騙せない。思いついた歌を次から次に鼻唄を歌って悪状況を乗り切るのに必死で、Cold Play, Adele, Sting, 戦場のメリークリスマス、まではよかったものの、ドサクサ紛れに中森明菜、サザエさん、Lollipop, ついに水前寺清子の人生マーチまで登場ししてきてメチャクチャなメドレーではあったけれど無事に乗り切ることが出来ました。

Pは大丈夫だろうかとふと隣に目をやると、なんと、涼しい顔してこの大揺れの中で本を読んでいるではありませんか!アルマジロより珍しくて不気味な生き物を見たような気がした。

それと、残念だったことが一つだけあった。

ミコノス島最後の晩に夕日を見ながら散歩していていてふと海面を見下ろすと、、、そこにはウニがわんさかと密集しているではありませんか!う〜〜っ、今すぐ割って食べたい!けどここ崖っぷちだし取りにいけない〜!!!くうっっ、、‼男泣きに諦めるしかないのは正に遺憾でした。

というくらい、本当にバカになってしまうようなバカンスでした。

二週間以上いたらきっと私の頭も体も溶けてしまっていたことでしょう。海の中に溶け込んで行ったあのミコノスの夕日のように。

もしこれを読んでギリシャへ行こう!と思う人がいらっしゃるようであれば、一つだけ忠告があります。ギリシャはヘロインと同じです。一旦、天国の世界へ足を踏み入れてしまったら、現実の世界に戻る恐怖が待っています。お気をつけて。

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